2023.10.10

痛みを忘れさせてくれる趣味 -「レース鳩」を育てる患者さん-

酷暑の夏が終わり、エアコンは休む間もなく冷房から一気に暖房へ。
稲刈りの終盤を迎えている一方で、鳥海山は初冠雪を観測し、冬の使者、白鳥も第一陣がやってきた庄内です。

初夏のとある日、肝臓癌を患って大手術を受けた後、再発と骨転移を生じて、抗がん剤治療と放射線療法を繰り返し受けてこられた患者さんの紹介を受けました。
当方で初回介入した時、オピオイドを持続注射した状態で病院を退院してこられていました。
骨転移の痛みは非常に強かったようで、痛いときに押すレスキューボタンを何度も何度も押す日がありました。

そんな中、ご本人のベッドサイドにボールペンが挟まれた、本屋さんではあまり見慣れない雑誌が置かれていることに気が付きました。
それは「レース鳩」について描かれた雑誌でした。

その方は40数年来、レース鳩を飼っているとのこと。
一時期は100羽近くの鳩を飼って育てていたと仰っていました。
大病を患ってからも友人に頼んで(実は今も)自分の鳩をレースに出しているというのです。

たくさんの鳩をスタート地点(九州地方など)に連れて行って、一斉にスタートさせ、無事に戻ってくるのにかかった時間を競うレースとのこと。
鎮痛剤の量が安定するまで痛みが強く残る中、活き活きとした表情で鳩レースの事を饒舌にお話ししてくださいました。
レースのことを考えている間は不思議と痛みが落ち着くと仰っていました。

世の中にはまだまだ知らない世界が沢山あるなあ、ととても勉強になったのと同時に、痛みを忘れさせてくれるほどの趣味があることに羨ましさを覚えた瞬間でした。

先日、あい庄内クリニックの駐車場に一羽の見たこともないような美しい鳩が迷い込んで来ました。

その脚には文字が刻まれたタグが付けられていました。
日本鳩レース協会に連絡したところ、捕獲してそのタグに書かれた飼い主の情報を確認するよう指示を受けましたが、素人の我々には上手く捉えることができず、その鳩は赤川の方角に向かって飛んで行ってしまいました。。。

齊藤 佳寿
この記事の執筆者
あい庄内クリニック 院長

齊藤 佳寿 (さいとう かず)

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