2022.09.01

アドバンス・ケア・プランニング(ACP)-人生会議とは―

 

暑い暑い夏も終わり、すっかり秋の空気に変わってきた庄内平野です。
田んぼの稲穂も少しずつ黄色く色付き始めています。

 

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今日は、脳梗塞を発症して、言葉を失ってしまった高齢女性のお話です。
若い時から畑仕事をしながら専業主婦として家を守って来られた方でした。

 

 

麻痺してしまった右手は少しも動かすことができず、すっかり浮腫んでしまいましたが、動く左手は一目見ただけで長年の畑仕事の経験を語ってくれる程、太くて味わいのある手指でした。

 

入院中は食事が摂れず、長期にわたって輸液を施行されていました。
そんなある日、どうしても点滴をすることが嫌になった彼女は、動く左手で何度も何度も点滴を自己抜去したそうです。

病院から呼び出されたご家族は、胃瘻を造設するか否かの決断を迫られたとのこと。

しかし言葉を失った彼女は必死に身振りと表情で訴えたとのこと。「点滴も胃瘻も嫌だ」と。

 

アドバンス・ケア・プランニング(Advance Care Planning:ACP)「人生会議」の時間を設けたことがある方はどれぐらいおられるでしょうか。

(ACPとは・・・将来の変化に備え、将来の医療及びケアについて、患者さんを主体に、そのご家族や近しい人、医療・ケアチームが、繰り返し話し合いを行い、患者さんの意思決定を支援するプロセスのことです。)

 

元気に過ごしている時は「人生会議」を開く時間も余裕もなかったりします。

でもその時になって決断を迫られるよりは、予め余裕を持って様々なことを決断しておく方が、より豊かな人生を送ることができるのではないでしょうか。

我々のような医療従事者であっても、上記のような患者さんに出会った時に我が身を振り返り、「人生会議、しないとなあ」と思いはするものの、やはり十分な時間が取れないのが現実です。

それでもいいと思います。きっかけは何でも構わないと思います。

ちょっとした休日、お盆休みやお正月、ゴールデンウィークやシルバーウィーク、一度でも何度でも決まりはないと思います。

家族の団欒の時間に気軽に話題にしていけるとより家族の絆も深まるのではないでしょうか。

 

胃瘻も点滴もしないと言った彼女は、美味しい食事を提供してくれる施設で、今は大好きな野菜のメニューを楽しんでおられます🍱

 

 

 

 

 

 

齊藤 佳寿
この記事の執筆者
あい庄内クリニック 院長

齊藤 佳寿 (さいとう かず)

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